スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

個別労使紛争の芽⑤

「個別労使紛争の芽①」からお読みいただくと、事例研究に役立つと思います。

①~④はあっせんで解決を図るためにということで論点をまとめました。

この⑤では、こう対処できたという結果の報告です。

土曜日の5時27分。
診療時間を終えつつあるのか、駐車場から中を覗くと、お客さんらしき人がナースと話をしている姿が。
携帯電話を取り出し、院長へ電話
「今、駐車場に来てますが、中へ入って良いですか?」
「まだ片付けが済んでないみたいだから、院長室へ来て貰っていい」
ということで、車を降り、玄関で声を掛け院長室へ上がる。

今日、話す内容の再確認をした後、いざ戦場へ!

会議室ではなく、診療室に椅子を丸く置いて、その一つへ私が。
職員達が残りの椅子に座り、院長はその円から一歩離れて、私の向かいに席を置いた。

職員は19歳から上は私と同年代とおぼしき方までだが、みなさん女性。こんなにたくさんの(といっても全員で6名)若い(6名中4名w)女性に囲まれるのも久しぶりだなぁなんて不埒な考えも・・・。

まずは知られていないだろう「社会保険労務士」について、最近の年金問題を引き合いに出しながら、こんな資格者ですと説明。

続けて、考えてきたプラン通り、分かりやすい例えで話を進めていたところ、職員の一人から「そんな回りくどい説明を聞きにきたんじゃない。この後予定を控えている子もいるし、直接的な説明をしてほしい!」と労使紛争キタ━(゚д゚)━!!ってな、テンションで私にくってかかる。

私は冷静に「説明には法律用語とか専門用語とか難しい言葉が出てきます。それを出来るだけ使わないように、みなさんにきちんと理解して貰えるように用意してきましたが、仰るように話してもよいのですね?」
「皆さん方の意に添わない説明をしたときに、難しいから分からないとは逃げないでください。難しいのなら、事細かに説明しますから。それで良ければ、法律用語を交えて、直接的に話します。よろしいですね?」

特に異論の声が上がらなかったので、対社労士受験生相手に話をするような、あまり平易な言葉を用いずに説明を始めた。
もちろん、そうはいっても素人なので、混乱しそうなところは言葉を足して。

労基法第32条。1日8時間、1週40時間が世の中の大勢であること。
この診療所は10人未満のため、特例事業場である1週44時間まで労基法では認められていること。
1週40時間を守るため、各種の例外規定が労基法には設けられていること。
世の中の中小企業はその例外規定を利用して、週40時間制を守っていること。
この診療所は一月単位の変形労働時間制を採用していること。
その採用にあたり、法的になんら問題のないこと。

院長から相談を受けて、私がアドバイスをしたときには、週37時間制なんて甘っちょろいこというのではなく、労基法ぎりぎりの週44時間制を提案したが、院長に拒否されたこと。

この手のケースでは、残業代の未払いが大抵あるもので、それはきちんと支払った上で話をしようと確認したが、全く合法的な、労基法以上の割増賃金が支払われていることがわかって、それができなかったこと。

資料を交えて、これらを一気に話し終えたあとで、職員達からの反論が。
職員の中のチーフが持つ資料には労基署でよく見る労基法の解説パンフ。

(こいつら、もう監督署に相談に行ってるんだ)

どんな反論か、いろいろありすぎて忘れてしまったのだが、これはして欲しいけど、これはやだ、という主張ばかり。
社会はそんな甘いものじゃないよ?の方針で説明すると喝破できることばかり。

喝破され続けているから、職員側も面白くないが、甘い労働条件を少し世間並みに戻すのだから、仕方のないところ。
だんだん、愚痴っぽくなってくる。
「昇給が1000円しかないのに、これじゃ元に戻るまで何年かかるか・・・」
(昇給1000円は厳しいなぁ・・・でも、ここで甘い顔できないし、あとで院長へ言っておくか、もう少し上げてあげたらと)
「新しい制度になったら、5万円も減額したのに・・・」

5万円!

私が院長から聞いていたのは、2万円の減額だし、事実、事細かにチェックしたわけではないが、たしかにそれくらいの金額だったところで、5万円という額が・・・

これには、私も、それはきつすぎる。なんとか救済措置を考えなくてはと考え始め、この5万円はシフトの谷間で、まったく残業が出来ない月に生じるもの。
所定労働時間がある月だけ、大幅に減ってしまうため、ノーワークノーペイの原則から言えば、仕方のないところでもあるが、やはり生活の安定から考えれば看過できない。

まずは今のシフトを組み替えて、所定労働時間の谷間をなくすか減らすことを私から提案する。
「院長が考えてくれ」的な発言には、「みなさんのことだよ?そこで院長を頼ってどうするの?」とピシャリ。

このころから、シフトをどうすれば安定的な給与が貰えるようになるか、一人一人が考え始める。

「バランスが悪くなる」「どういうこと?」谷間を減らすために山を削るというのだ。削られた山の時間帯には人が不足し、回らなくなるという旨。
「働いてはいけないとは診療所は言ってないよ?今のシフトに、今休んでいるところ(人)を出てきて貰って、給与の安定を図ろうということだから」
「でも、そうすると、仕事がなくなるじゃないですか?」
「仕事は与えられるものじゃないでしょ?自分で作り出すものでしょ?特にあなたはチーフなんだから、新人職員ならまだしも、あなたがそういう意識では問題あるんじゃない?」
「それは分かっているけど・・・」
「どうしたら、一人一人が自分で仕事を作り出すようになれるのかを考えることも、あなたの仕事じゃないの?」
「あぁそうか・・・」

このころから、こちらのいいように場全体が回り始めた。
最初の対決姿勢は霧消し、ある人はシフトのことを考え、ある人は仕事を作り出すことについて考えという姿が見て取れるようになってきた。
やっぱり、日本人って仕事に真面目な国民性なんだなとか思いつつ、性別を超えて真摯に仕事に向かう若い人の姿勢ってかわいいなとも。
ここだと思い、私が向かいの院長の目を見て発言する。

「みなさんには厳しいことを言ってきているが、正直、5万円の減額がきついことは私も承知している。これはいけない、なんとかしなくちゃ。そこで、院長。私からの提案なのですが、今、みなさんがシフトの組み替えをいろいろ考えているようです。もしかしたら、とってもよいシフトができるかもしれない。だけど、考えて考えて考え尽くしても、やっぱりできないかもしれない。その場合には、いくらかの救済措置をとって貰えるよう提案いたしますが、いかがですか?」

沈黙を守ってきた院長が口を開く
「いいですよ」
了解を得た私は続けて職員の気を引き締めるため
「シフトにより給与が不安定になることは、みなさんの生活の安定のためにも良くないことです。生活の安定が図れないことはやる気をそぐことにもなって診療所にとってもマイナスです。そこで、救済措置を院長に提案しましたら、お聞きのように了承して貰えました。
ですが、ここからはみなさんへ注文です。
先ほど提案する際、私がいいましように、みなさんがよいシフトを考えて考えて、考え尽くしてもなお、よいシフトが出来なかったときの救済措置です。お話を聞いていると、よいシフトの案らしきものも聞こえてきてます。どうか、みなさんお一人お一人が考えて、よいシフトを作ってください。」


ここでは書けなかったが、今回の紛争の最大の原因は経営者と職員のコミュニケーションの不足だと確信できる瞬間があった。

院長とは、幼稚園から中学まで同じ学校へ通い、高校大学、社会人の10年くらいは交流がなかったが、2年ほど前から交流が再開し、今では2月に一度は飲みに行くつきあいをしている。
子供の頃から頭の良かった院長。
地元随一のK高出。
頭のいい人は「一を言えば十わかる」が、世の中の大半はそうじゃないってところだろう。頭の良い人は良い人で、こういうところで苦労するという典型のような事例。だから、社会って面白いし、(人を相手にする)労務って面白い。


最初に、この依頼を受けた際、院長には言っておいた
「私が説明するけど、『うまくまとめること』はできないよ。部外者だもん、私は。ただ、部外者が話することで整理できる部分があって、それでうまくまとまる方向へ誘導できるかもしれない。だけど、やっぱりまとめることは経営者の仕事だと思うし、院長にはそれを体験する良い機会だと思うから、まとまることまで期待しないでください。」
院長が面倒はsharocへ振ればよいと味を占めることは今後の経営にとって、絶対にプラスではないと確信するからこそ、釘を刺したが、思いの外、聞き分けのよい子(職員)ばかりだったせいか、予想以上にうまくまとまってしまって、ちょっと上手くやりすぎたかなぁと反省する点も。

紛争はほぼ解決できた、あるいは(良い方の)次のステージへ動かせたという実感はある。
では、満足しているかというと、「あっせん代理人・特定社会保険労務士」のsharocとしてはできすぎでしょうの満足感。紛争の芽を摘むばかりか、紛争のエネルギーを業務改善へまわせたのだから。
一方、この診療所の顧問の社会保険労務士としてのsharocは経営者育成の大事な機会をつぶしてしまった悔いが残る。悔いの方が少し大きい。

そうはいっても、院長からの電話は続く。
職員達の甘えも続く。
「そんなこと相手にしなさんな」二言目には言いたくなるこのフレーズをぐっと飲み込む私。解決したと思ったのに、まだまだ小さなものが続きそうな予感に、院長の経営者としての成長を願うばかりである。
スポンサーサイト

theme : 日記
genre : 日記

comment

管理者にだけメッセージを送る

占いブログパーツ

FC2ブックマークに追加する

FC2ブックマークに追加

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

sharoc

Author:sharoc
sharocのブログへようこそ!
【はじめに】
このブログは私sharocの匿名性を一応維持したいと希望しています。
匿名だから書けること、言えること。かといって便所の落書きにはしたくない。できれば読んで貰った方の参考になるような事を書きたいけど、堅苦しい事ばかりでも私が飽いてしまうし。というような気持ちで記しています。

できるだけ匿名性が維持できるようにはこころがけますが、HNがHNだし、「察しても、面と向かって『あれってsharocさんでしょ?』とは言わないで」くださいね。

また、営業目的のブログを肯定していますが、ここだけは(本業の)営業目的からもできるだけ遠ざけておきたいとも思ってます。って、他にブログやっているわけではないのですがf(^-^; ポリポリ 社労士ってこんなことをやって貰えるんだ、行政書士ってこんなことをやって貰えるんだと参考になりましたら、是非、地元のお近くのセンセイにご依頼いただけると、私もやっていて良かったなと思えます。

こんなブログですが、よろしければご贔屓ください。

参考になる投稿ができたら、「FC2ブログランキング」のバナーを(。・・)σ♯ポチットナ

画像を少し入れるだけでも、変わるなぁ~(。・_・。)

Gmail なるものにトライしております。
ご用の方は 
sharoc.sr@gmail.com まで

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
最近のコメント
リンク
FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。